Navigation to the Extreme

火曜日, 4月 20, 2010

高速ナビゲーションと簡単なコース

きつねさんのブログを荒らすのも悪いので、こちらで追加説明しておこうかと思う。



それはより簡単なコースを選択することに鍵があると思う。

捕捉点が3つある。

1.難しすぎるコース:そのコース(たとえばM18A)が求めているスキル(たとえばハンドレールがない区間のオリエンテーリングや走りながらの地図読み)をちゃんと習得してなければ、そのコースに出ても、高速ナビゲーションは出来ない。むしろちゃんとまわってくることが目的化していまい、丁寧なナビゲーションこそが大事、という意識が植付けられる。

2.ナビゲーションだけで勝てないコース:そのコースが求めているスキルが全て揃っている人ばかりが走るコースで勝とうとした場合(たとえばM18B)。ミスなく回ってくるだけでは勝てないし上位にいけない。高速でナビゲーションを行うことは必須となる。且つ、速く走れるようトレーニングしないと勝てないだろう。

3.面白くないコース:ただし、迷わないコース(つまり簡単)にしか出ていなければ、ナビゲーションそのものに楽しみを感じる人は当然オリエンテーリングは面白くなくなる。


さて、この考え方はikuniさんの

僕が言っているのは、単なるスピードではなく「複雑な意味での速さ」であり、複雑な地形の中とかであっても、スピードを落とさず、自信を持って速く走ることのできる能力のことを指しているんだと思う。

という考え方と全く矛盾しないと思う。高速ナビゲーションは動詞であって能力の度合いを言っている訳ではないと思う。極端な話、本当に初心者を除き、やろうと思えばどんなオリエンテーリングのレベルであっても高速ナビゲーション、「複雑な地形の中とかでもあっても、スピードを落とさず、自信を持って速く走る」、ことは出来る。もちろん「複雑な地形」は、オリエンテーリングのスキルレベルによって異なり、Bレベルのスキルしかない人はBレベルのコースでしか高速ナビゲーションはできないし、Aレベルの人はAレベルのコースでしか高速ナビゲーションできない。


ところで、ここで一つ提議したいのは、ナビゲーションは手段に過ぎないということだ。結果が(つまり全てのコントロールを通過してのスタートからゴールのタイム)良ければなんだって良いのである。

ただし世界のトップレベルが実践している以上、世界で勝負するためには、高速ナビゲーションは必須である。もちろん高速ナビゲーションとしても、それを補う体力・走力・精神力など他の要素があればいいのだが、それがある選手は今の日本にはいない。

一方、高速ナビゲーションにあまり価値がない場合だってある。一つのミスによる結果への影響度が非常に大きければ、ナビゲーションが高速であることの価値は少なく、ゆっくりでも精度が高いことだけに価値がある。

日本における尾根沢・急斜面のオリエンテーリングがそうである。

ナビゲーションが簡単な区間(道があり分岐も少ない尾根線)とミスに対する罰則が非常に大きいコントロール(道から見えないやぶい急斜面の沢の下へのアタック)が多い日本では、高速に走ることと、ゆっくり丁寧のナビゲーションに価値がある。こんなコースでアタックで2~3分ミスをしたら、いくら高速ナビゲーションでも相手もミスをしない限りしんどいだろう。

それにあわせ、大学ではじめた選手が4年間で(場合によっては2年生や3年生で主力)結果が求められるという事情。これらが短期で結果が出やすいオリエンテーリングが優先されてきて、高速ナビゲーションの優先度が低かった理由なのだろう。

2 Comments:

  • いつもとても勉強になるコメントを頂き、ありがとうございます。
    僕もhidyさんとikuniさんの仰ることに矛盾はないと思います。

    「速ければ何でもいい」というのが、僕も一番重要なことだと思います。
    そこで僕は速さを追求する一つの方法として、視考的反射的判断が良い線イケるのではないか?と妄想しているのです。

    また「やろうと思えばどんなオリエンテーリングのレベルであっても高速ナビゲーション、「複雑な地形の中とかでもあっても、スピードを落とさず、自信を持って速く走る」ことは出来る。」も同感です。
    僕は大学生の時にこれに気付き「オリエンテーリングが何であるか見えたな。あとは全ての能力を上げていくだけか。その楽しさよりシンドさの方が上回りそうだから、この辺りでまーいいや。」と満足してしまい、終わってしまいました。
    「自分ルール」の設定次第で、高速ナビゲーションは誰でもどんなコースでも体感できると思います。

    By Anonymous きつね, at 7:48 午前  

  • そうそう、その「オリエンテーリングが何であるか見えたな。あとは全ての能力を上げていくだけか。その楽しさよりシンドさの方が上回りそうだから、この辺りでまーいいや。」というのは非常に重要な点だと思う。

    勧誘のときにこの点は忘れてはいけないと思う。

    実は、オリエンテーリングの「高速ナビゲーション」に魅力を感じる人は、それを達成した段階で、満足してしまう可能性がある。もっと限定していうならば、「ナビゲーション」に魅力を感じる人は、街中を歩くかのようにナビゲーションが出来るようになれば、簡単なコースに不満を感じ、辞めていってしまう。

    だから勧誘のときにナビゲーションをアピールのポイントにするのは長期的に見るとまずいような気がする。

    By Blogger Saxy Orienteer, at 6:45 午前  

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