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日曜日, 2月 10, 2008

a way of living: 株価の下落に思う~まじめな話題~

a way of living: 株価の下落に思う~まじめな話題~

友人のブログに出ていた話題が気になり、こちらでちょっと書いてみる。

個人が経済、金融、資産運用の知識が必要かどうか。程度にもよるけど、「お金を増やしたい欲」というよりも自己防衛の観点から最低限の知識は身につけるべきじゃないかな。世の中、いい人(法人含む)ばかりでなく、とんでもない商品や話がごろごろしている。ねずみ講もその一つだが。欲があって、ひっかかるのはしょうがない。でも、生命保険や傷害保険、変動金利の住宅ローン(そもそも家を買うことが資産運用というだましかた)、固定金利の個人向け国債、銀行の10年固定金利の定期、元本確保型の金融商品といったものの多くは、人の将来への不安やら、資産価値に関する不安といった面につけ込む。これらの商品を買っていたほうが安心だと。
これらは、お金に対する価値観が高くない人ほどひっかかりやすいように勧められる。生命保険にはいっておけば万が一のことがあっても大丈夫、これで無駄にお金について考えなくてもよいですよ、と。普通預金にどんどんたまっていったら、簡単に使ってしまうかもしれないから、とりあえず長期の定期預金に入っておけばそういう心配がない、と。銀行預金は1000万円以上は元本保証がないから、つぶれたときのことを考えて、余分なお金はつぶれる心配のない国(国債)に預けた方がよいとか。

自己防衛という観点でもう一つ。「銀行に貯金をして、知識のある人よりも多少財産が目減りしたところで、それでいいのではないか?」とあるが、多少が問題だと思う。現在のデフレ状態はこのまま続くとは限らない。バブル崩壊でデフレになる前は数%のインフレが普通であった。3%ぐらいのインフレが持続したとしたら、10年後に物価は30数%上昇していて、仮に預金でほとんど金利がついていなければ、それだけ購買力が低下することになる。もちろん、インフレにならないかもしれないし、デフレが続くかもしれない。正直、10年、20年、ましてや、我々の世代が仕事をして、その付加価値により収入を得ることができなくなったときまでにどういう経済情勢になっているかはわからない。目先数年のことだったら、もちろん、預金してようがなにしてようがたいして変わらないかもしれない。でもそれが数十年先になると、大きな違いになる可能性が高い。

そうなっても個人の問題だろという見方もできる。しかし、たとえば、年金未加入の問題をみるとそうとも言えない。もちろん、多くの若者(若者でない人も)が国民年金未加入なのは、様々な理由がある。そもそも、国民年金は詐欺(社保庁は詐欺に近いが)だという見方もある。お金がないという理由もあるかもしれない。ただ、彼らが、「将来の備えはしないという価値観なんだ、将来のお金がなくても別にいいじゃん」という考えだったら?なんの備えもしない、無年金の人たちが数十年後の日本にあふれる。個人個人ではなく社会全体としてみると、それぞれが年金を適切に(ある程度の資産運用知識を持って)築くかどうかは、社会全体の話になるのだ。経済困窮者があふれるという意味で社会全体でコストが発生するのだ。

もちろん、政府が面倒を見るようそなえていれば安心かもしれない。それこそ、北欧の成熟した社会は将来に向け、国として投資活動を重要視している。
ノルウェーの有名なGovernment Pension Fundである。

http://www.norges-bank.no/Pages/Article____41137.aspx

最近、日本株投資も増やしており、新聞でもよく話題になる。現在の資金を株式投資(いろいろな国の)することで、将来に備えている。これも、国民が将来への不安なく、現在を様々な価値観を持ち生きることができる要因の一つなのでは。経済、金融に対する理解が多少でもあるからこそ、国民が、石油からの収入を運用にまわせるのだろう。同じ投資でも、将来のために道路や新幹線に投資する日本とは雲泥の差である。政府が将来に向けてしっかり備えていない以上、各人がなんとかするのが、ある面では社会的な責任なのではないか?みんながみんな、資産運用なんて知らないよ、お金なくてもなんとかなるさ、だと今の日本の政治や経済状況からみると、将来の世代は大変困ると思う。

一般市民がお金の運用を気にせず、様々な価値観を持てる経済構造を金融経済のプロが築くべきとの論調もあるかもしれないが、まあ、政治のプロ、医療(医薬品?)のプロ、食品のプロの任せっぱなしが、最近の不祥事である。日本人は得てしてプロが面倒なことはすべてやってくれるという風潮が非常に強い。例のお上意識である。残念ながら、その道のプロだからといって、任せっぱなしですべてうまくいくことはまずない。プロに委託する人がある程度の知識を持たないといけないのである。

ちなみに、だからといって、株価に一喜一憂していることがよいことだとは思わないし、デイトレーディングをみんなしろ(これは間違った資産運用!)だとか、お金を目的にしろだとかは思わない。お金は手段だからこそ、その活用/運用を過度に毛嫌いすることなく、目的実現のためへどのように適切に扱うかの知識を持つべきだと思う。目的実現に役に立つ手段の一つであることは間違いないのだから。