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火曜日, 1月 30, 2007

大リーグ流出?

円井が書いているけど、最もだと思う。

前々から少し感じていて、この半年ほどで顕著に感じるようになったことだが、日本のプロ野球における優秀な人材がアメリカの大リーグに流出する構図が、日本のオリエンテーリング界とトレイルラン界の構図に通じると思う。日本のオリエンティアの多くは大学からオリエンテーリングを始め、その大部分は大学卒業とともにオリエンテーリングをやめる。大学卒業後に競技を続ける貴重な人材は数少ないが、その中でも脚の速い優秀な人材の多くが、最近ではトレイルランの世界へ進む動きが目立つ。そして彼らが再びオリエンテーリング界に戻ってくることはあまり期待できないのが実情だ。


NTの新しい方針は流出する優秀な人材を引き止めることができるのだろうか?宮川さんは、世界選手権に対する長期の目標およびその青写真を描かないのは、結局は「天才」が現れるのを待たないといけないからだという。けど既に天才はオリエンテーリングを見切っていることもあるのではないか?今まで才能があふれる選手たち、大勢いたと思う。結局世界を目指さずオリエンテーリングを辞めている。新NT改革案では、代表としての力がなくとも、教育ということで世界選手権の代表にすれば、天才も辞めずに世界を狙うという筋書きなのだろう。でも、今までオリエンテーリングを通過していった才能のある選手たちは、別に世界選手権の代表になれていたとしても、辞める人は辞めていたのではなかろうか?実際問題として、若くして代表になった選手の大半がその後更に上を目指したというわけでもないし、オリエンテーリングの強化に貢献しているとも限らない。

ラベル:

月曜日, 1月 22, 2007

ジュニアチャンピオン

日曜日に多摩OL主催のジュニアチャンピオン大会が開催され、60人近くの高校生が選手権クラスのJMEに参加したそうだ。高校生レベルでのオリエンテーリングの活性化はとてもうれしい。とはいえ、参加している高校の数が限られており、この傾向が継続するかは分からない。
ちなみに今回の参加高校高校は:

武相 11
東海 2
桐朋 18
麻布 7
浦和 6
東農大三高 9
豊田高専 1

という具合である。

土曜日, 1月 13, 2007

a way of living: 6.7%

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山岳耐久に参加した人たちのアンケートでは今後やってみたいスポーツでオリエンテーリングが6.7%で6位になっている。

これらオリエンテーリングをやりたい人たちはじゃあなぜやらないのだろうか?

一昔前だったら、そもそも大会の参加が難しいということになっただろうが、オリエンテーリングやっていない人たちもアクセスするSports Entryにおいて簡単に申し込みできる大会が増えている中、そんな言い訳は通用しない。

色々な要素があるのだろうが、丁度今読んでいるBlue Ocean Strategyに参考になる話が出ていた。Blue Ocean Strategyそのものはこの話にほとんど関係ないので無視する。参考になるのは、顧客でない人たちに目を向けて企業(スポーツ)としての戦略を立てろという話だ。ゴルフクラブメーカーのCallawayは新しいクラブを開発するにあたって、なぜゴルフをやらない人たちがいるのか、目を向けたそうだ。ゴルフクラブを作るのだからゴルフ競技人口に目を向けるだけで良さそうなのだが−これが新しい発想につながったのである。
Callawayはゴルフをやらない理由の一つとして、ゴルフボールを打てるようになるまで時間がかかるということだった。その発想から生まれたのが、ゴルフボールをより簡単に打てるBig Berthaーいわゆるデカヘッドのクラブである。これが従来のゴルファーに大ヒットになっただけでなく、ゴルフに難しそうと印象を受けていた新たな層を呼び込んだのである。
オリエンテーリングに例えると、現在大会運営の焦点は良い地図/テレインに重点がおかれている。しかし、初心者説明/初心者でも楽しめるコース、スキルの低い選手でも楽しめるコース、大会、というのはおまけ程度にしか行われていない。それは顧客のことを考えていれば当然でもある。現在のオリエンティアの大半は良い地図、テレイン、コースを求めており、初心者説明や簡単で面白いコースへのニーズはほとんどないに等しいのである。顧客ニーズに応えようとするあまり、より大きな潜在的な顧客へのニーズに答えられずいるのだ。

市民ランナーへの期待

オリエンテーリング界の世界での競争力不足の大きな問題は期待の不一致ではなかろうか。
おそらく一般的なオリエンティアの日本代表へ抱く期待は、世界選手権をはじめとした世界の競技会での活躍だと思われる。何を持って活躍と考えるか。どの基準で活躍を考えるか、で大きく違う。たとえば、日本代表を個人的に知っており、且つ日本のオリエンテーリング界と世界のオリエンテーリングの現状に詳しい人。こういう人たちが基準にする活躍は、おそらくそういった知識の上、現実的な期待を元にするだろう。従って、決勝進出でもそれなりの成果だと思えるし、ましてや、個人で20位台とか、リレーで10位とかだったら狂喜乱舞するかもしれない。実際、女子−男子より世界的にも層が薄く世界選手権のような国別になると上位に行きやすい−の日本での順位、番場のここ最近の成果は特にこの層の人たちに高く評価されていると思う。
ところが、さほど詳しくない人、それほど関心のないオリエンティアたち。おそらく、知識のある人たちから「それはすごいことなんだ」と言われない限り、そのレベルの結果はたいして印象を持たないだろう。特段日本代表が活躍しているように思えないかもしれない。たとえば、我々がオリンピックや世界選手権を見て、日本の男子マラソンはなんか弱いなー、と言っているのと似ている。それなりに入賞等はしているのにである。

その競技において、どちらの層の人たちが多いかと言うと当然後者である。前者はある意味、内輪の人たちである。内輪の人たちは、その頑張っている個人が与えられた環境のもとすばらしい結果を出している事を適切に評価するだけの情報がある。内輪じゃない人たちは客観的な順位という結果でしか評価できない。

このような状況は、現在の日本代表が大半が市民ランナーである、と考えると分かりやすい。市民ランナーの評価基準はその人が競技以外の部分を考慮して行われる。つまり、この人は普通に働いていて(しかも毎晩あんな時間まで!)でありながらフルマラソンを2時間20分で走る。すごい!となるわけである。しかし、その人が世界選手権に出たとして(たまたま選考会で勝ってしまった!)その結果であっても、その人個人を知っている人は高く評価しても、マスコミからは袋だたきにあうだろう−無視されなければ。

もちろん、その市民ランナーが世界選手権で優勝なり入賞なりできれば誰も文句言わないだろう。が、当然現在の世界のマラソンシーンでは市民ランナーがそのような結果を出すのは、不可能に等しいのではないだろうか。オリエンテーリングでも、陸上ほどとはいわないが、市民ランナーでは世界のトップレベルにいけない状況になっているのではなかろうか。

このような状況で強化部がとる方針は明らかである。市民ランナーのレベルアップよりも、セミプロ/プロもしくはそれに近いコミットメントをする選手の育成である。幸い、女子のトップ選手はセミプロの道を歩みはじめており、男子でも検討している/それに近づいている選手がいる。何よりも不幸なのは、自分のできる範囲でのベストを目指す市民ランナーに、国を代表する者に向けられる客観的な結果の期待を負わせることだ。