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木曜日, 10月 19, 2006

ワンパットをするために

昨日織田フィールドで学生と話をしていて、全英オープン(ゴルフ)を見るのが好きなんですよー、と言っていたので、ゴルフとオリエンテーリングの類似性についてちょっと話した。前々から思っているのだが。一つ面白いなーと思ったのが、彼が、ゴルフにおけるパッティングがすごい、と言った点。グリーン上であの小さいホールに良く一発(ないし2発)で入れることができるなー、と関心していた。

しかし、オリエンテーリングをやっていない人から見ると、トップオリエンティアが地図をちらちら、走りながら見るだけで、あの小さいフラッグに迷わずにたどり着けるのもすごいことなのだろう。

ゴルフでのパーを考えると、グリーン上のパットは2回である。たとえば、ロングホールだったら、ティーショットを打って、もう一回打って、さらにもう一回でグリーンに乗せ、グリーンに乗せてから、1回ホール目指してパットする。そこで入ればバーディ、はずしたらもう一回パットしてパー、となる。
おそらく多くのアマチュアゴルファーは、まず、グリーンに乗せることから考えるのだろう。まず、グリーンに乗せて、そこからパットについて考えようと。しかし、グリーンの上というのは案外難しくなっていて、グリーンに乗っけた場所によって、一回でホールに入れられるか3回、4回になるか大きく変わる。本当のプロは、グリーン上の「ここ」に乗せたい、そういうイメージを持って常にプレーしているはずである。ピンをデッド(ホールを直接狙う)場合もあれば、リスクを考えて手前に落とす、またはグリーンの奥に落とす、ないしはグリーンを外し、転がしてグリーンに乗っける。グリーンの形状、条件、天候、風、現在地のライ、距離、などなどからどういう風にグリーンに乗っけるか考える。

オリエンテーリングも似ていて、丸の中をとりあえず目指して、丸に入ってからコントロールへのたどり着き方を考える人もいれば、丸の中にどういう風に入っていくか、どこから入れば最も早くリスクが少ないかなどを明確にイメージしてアタックする方法がある。当然後者の方が早いし確実である。

ゴルフにたとえれば、グリーンに乗っけて、2回パットすれば、まあパーを取れる。パッティングがうまければ、グリーンのどこに乗せようが、概ね2パットでいけるだろう。パーは取れるかもしれないが、バーディはごくたまにしか取れない。

オリエンテーリングでも同じで、そこそこナビゲーション、地図読みができれば、丸に入ったら大きなロスなくコントロールにいける。近くまでいってうろっと30秒すれば見つかる。しかし、10コントロールあれば、それは6分になるのだ。こんなことやっていたらいつまでたっても、トップオリエンティアの仲間入りはできないだろう。

当然のことながら、ゴルフの世界ではグリーンにどう乗っけるかなんて序の口の話。プロは(できるアマも)みんな考えていること。それでも、同じプロでも、タイガーウッズがいて、シード獲得に苦労するプロという大差ができるのだ。オリエンテーリングでも、同じようなことをやっていてもテリージョルジョーと、予選通過を苦しむ選手との差があるように。

金曜日, 10月 13, 2006

ノーネームトレーニングスーツ

高橋選手に紹介してもらっていますが、ノーネームのトレーニングスーツ、お勧めです。

もしかしたら、会場で見たことがあるかもしれませんが、私が良く着ているトレーニングスーツです。日本で売られているウインドブレーカーよりも体にフィットし、前面は風をシャットアウトする素材、背面は通気性に富む素材で、これからの季節に最適なウエアといえると思います。私は、2003年のフィンランド滞在時に購入しましたが、今年で4シーズン目。縫製もしっかりしていますので、まったくくたびれていません。完全に元は取ったなという感じです。


トレーニングスーツはクラブで購入すれば(最低20着)、いくつかの色、デザインから選択できます。価格的にも、ウィンブレを新しく購入するより安くすむ。ちなみに『渋谷で走る会』で作成予定。

M君が欲しい、K君が欲しい

今週の渋谷は盛況だった。渋谷で走る会のメンバーもまあまあ出ていた。
こういう場では、クラブ勧誘をどうしてもしたくなる。前から声をかけていたK君やM君もいるし。
クラブにとっては若い人が入るのはとても重要。特に、活発に活動しそうだったり、明るいキャラで盛り上げてくれたり、いろいろ企画をするのが好きだったり。正直、家族を持ち始めると、何かしら企画なりはしたいけど、そのパワー、取れる時間が少なくなる。また、クラブのメンバーが親しい友達ばかりになってくると、クラブ活動しているのか、ただ友達で集まっているのか分からなくなってき、ますます新しい人が入りにくくなる。

そこで、いろいろ勧誘するわけだが、どうも難しい。渋谷で走る会、最近はファミリークラブになっていて、昔のようなエリート集団でなくなってきているのに、そういうイメージが強いらしい。まあ、アウトドアスポーツ好きが多いのは変わらないけど。

まあ、ぜひM君、K君には入ってほしいもんだ。もちろん、ほかにも大歓迎。

水曜日, 10月 11, 2006

強化選手と強化選手を支える仕組み

今、強化選手、強化委員会の中で強化選手になるメリットが話題になっている。いろいろ意見はあるのだが、ようするに、現在は、選手が強化選手になってもメリットがあまりないと感じている、その程度しかメリットがないのである。これは僕が強化選手であった頃からあまり大きく変わっていない。選手だった僕はそのことにやや不満を感じていたが、オリエンテーリング界のリソースのなさから考えれば仕方がないなと諦めがあった。

しかし、メリットを受ける側から、メリットを与える側-選手から見ると-なり、ファンなりに立場が変わり、見方は大きく変わった。選手(および強化委員会)に考えて欲しいなと思うのは、強化選手と強化委員/支援者は一つのチームであってどちらかがメリットを提供し、どちらかがメリットを享受するべきではないということ。日本代表という観点でいえば、国際舞台(具体的には世界選手権とワールドカップ)で良い成績をあげるのはJOAとしての事業。結果については強化委員会、支援者、選手、JOAのその他の部門それぞれの役割を充分に発揮してこそ得られる。チームジャパンじゃないといけない。

チームジャパンが大企業なら良い。それぞれ役割は比較的明確、分担されている。しかし現在チームジャパンは中小企業である。いや、中小企業どころか、赤字垂れ流しの零細企業。言ってみれば、個人事業主が集まって、これじゃ先が見えてるから法人化しようか、といったところなのだ。そこで強化選手が「メリットは何、もっとメリットが欲しい」と言っているのは、零細企業の中で、営業マンが「売り上げをもっと上げるためには、もっと営業の負担を軽くしないと駄目だー」と言っているのと似ているような気がする。もちろん、営業の負担が軽くなれば、売りやすくなるのは当たり前だ。しかし、それは、零細企業の中で考えると、他のメンバーにもっと負担してくれって言っているのと同じこと。

仮に、そのようにしたときに、エース営業マンがすごい結果、売り上げを出せるのならそれが良いかもしれない。エース営業マンが結果を出すまで、バックの人たちはひたすら我慢すればよい。売り上げが上がってきたら、会社も拡大し楽になるかもしれない。上場し、金持ちになるかもしれない...という夢を持ち続けれるかもしれない。でも、エース営業マンが、「やっぱ辞めた」ってことになったら?エース営業マンが実は楽になった分副業をしていたら?そして、何年も続けていても結果が出なかったら?それでも、バックの人たちは夢を見続けられますか?

もしかしたら、強化選手にメリットを与え、強化委員会/支援者の負担を増やすよりも、強化委員会/支援者の負担を減らしたほうがチームジャパンとして良い結果が出るかもしれない。少なくともその検討は必要なのじゃないかな?

じゃあ、メリットがないなら強化選手になりたいと思う人なんかいなくなるんじゃないか?って言う人がいる人がいるはず。そういう人たちは個人事業主で続ければよい。別に問題ない。ただ、チームジャパンの一員になれば、零細企業かもしれないがチームとして結果を求めることができる。また、チームジャパンの商品を企画開発し、自分でそれを営業することができる。

そう思う。

金曜日, 10月 06, 2006

チャンプと呑む

僕が東大のオフィシャルを大昔にやっていたときにインカレロングで優勝した太田と呑んだ。たまたま、地下鉄の駅で何年ぶりかにばったり会い、飲みに行く約束をしていたのが実現した。

麻布でオリエンテーリングをしていてインターハイのチャンプにもなっていた太田は入学当初から注目されていた。しかし、オリエンテーリングに対してそれほど情熱を持っているようには見えず、うまくはあったが強さは感じられなかった。2年、3年とショート(当時はミドルでなくショートが行われていた)で入賞し、リレーで団体戦メンバーになっているにも関わらず、どこか頼りなさがあった。それが4年のときはがらりと変わり、「強さ」が出てきた。もちろん成績も良かったのもあったが、オリエンテーリングのアプローチが変わっていた。真剣勝負に臨む侍のような。

そして、秋のショートインカレでは3年連続の入賞(3位)を果たし迎えた春のインカレ。その年の東大は、エース太田がいながらも、実力的には京都、東北を大きく下回るとされ、団体戦の入賞もどうかと言われていた。そんな中、彼は個人戦を安定した運びで、優勝。一方、翌日の団体戦はメンバー選びで紛糾。事前に決まっていたメンバーは個人戦ではふがいないレース。それともようやく力を出し個人8位の4年生か。リレー選手にはなれなかったが一年間チームをひっぱてきた信頼の厚いキャプテンか。メンバー表提出する前に大議論になった。このとき、結局もっとも影響力のある一人であった太田をはじめ、リレーの他のメンバーから強い意見は出ず、当初のメンバーそのままでの出走となったのであった。

リレーはメンバー全員での勝負であり、まあ、4人(当時は4人であった)走れば誰かはこけて、誰かはいいレースする、というのが僕の考えである。全員が良いレースをすることは稀である。誰か一人がこけたときでも他のメンバーでしっかり実力どおり走れるか。メンバー全員の結果が大事なのである。そして、この奈良インカレではたまたま、メンバー選びで紛糾した結果の大滝がこけてしまった。1走で入賞が厳しいと思わせるほど遅れてしまった。しかし、その後、2走、3走でなんとか盛り返し、エース太田に希望を託した。それでも確か、入賞圏外からの出走だったと思う。

太田は期待以上の走り、中間までに3位に上げる快走。しかし、実はそのときに勝負は決していたのだった。1走がポストをスルーしていたのだった。

太田は僕が今まで見てきたランナーで印象の強い一人だ。4年のときに感じられた「強さ」が特に印象に残る。そして、同時に思い出すのはその団体戦。あのとき、彼は、思ったほど落胆していなかった。それはどこか、やりきった感があったからなのか。

そのときに感じた「強さ」を太田に聞いてみると、オリエンテーリングを辞める、そう決めて取り組んだ一年だった、だからかもしれない、と語ってくれた。同時にそれは、中学から人生の大半を占めていたオリエンテーリング、そしてそれに頼っていた人生からの脱却でもあったと。

4年生がインカレで発揮する力、それは競技としての集大成としての決意があるから。太田の場合は、更にそれまでの人生を大きく変えるための決意もあったのかもしれない。それが彼を侍たらしめていた、そう思う。

水曜日, 10月 04, 2006

渋谷で走る

久しぶりに渋谷の織田フィールドに走りにいった。僕の所属する「渋谷で走る会」は、ここで毎週水曜日トレーニングする仲間がそのもととなっている。だが、構成メンバーもだいぶ年齢があがり、家族もでき、ここしばらくは、会のメンバーをトラックで見る事も少なくなっていた。それはそれで、クラブとしては成熟し、よりファミリーオリエンテッドになってきているということでは良いのだろう。一方で、以前のような定期的な活動がないと、どうも新しいメンバーを勧誘しにくいというのはある。そんなわけで、渋谷で走る会としては、毎奇数月の最終水曜日は必ず集まり、飲み会をすることになった。もちろん、飲み会の前に走る事にはなるのだが。また、偶数月にも極力集まるとの事。
日本の地域クラブは、地域と言っても、首都圏だとかなり広範囲にその構成メンバーがちらばっていることが多い。定期的にトレーニングなり集まるのは難しいと思う。一方、定期的な活動がないと、クラブとして活性化しない。大会に構成メンバーが出ているうちは良いのかもしれないが、週末が忙しくなり、大会会場からいったん足が遠のくと、復活が難しくなるのでは。他の地域クラブはどのような定期的な活動をしているのだろう?

月曜日, 10月 02, 2006

ミドルとロング

インカレについて学生と話をしていたときに気がついたことがある。ミドルのほうがロングより好きな選手が多いということだ。自分がオフィシャルをしている大学での傾向かもしれないが、そういう見方があってもおかしくない。

僕が学生の頃は当然だが、インカレでのショート競技は始まったばかりで、出ない学生も多かった。その後定着しても、参加者集めに苦労していた。学校対抗で盛り上がるリレーと同日程で行われること、開会式を行ったりシード選手紹介を行い大掛かりであったこと、一般的にロングの大会がメインであったこと、もあり、ロングで勝つことこそ、学生チャンピオンという雰囲気が強かった。

だが、ロングが秋、ミドルとリレーが春に行われるようになり、3年。今の3年生は「大掛かりなインカレ」は春のリレーとミドルであり、ロングが「他の大会との併設」としか知らない。ミドルのほうがブランド力が強くても当然だろう。

仮にロングよりもミドルのほうが、ナビゲーション技術を要求しているとしたら、このようなミドルの地位向上ないし逆転は、より高速なナビゲーションを追求する学生が増え、日本のオリエンテーリングのレベルアップには良いかもしれない。その一方で、地道な体力トレーニングを要求するロングが敬遠されているとしたらそうとも言えない。今年のロングで、学生の成績がチャレンジの成績を大きく下回っていたのがこれを示唆することなのかもしれない。

ただ一つこの傾向からいえるのは、おそらく、従来以上にミドルの大会が高い人気を集めることが可能であるということだろう。今のところミドルの継続的な一般の大会(ナショナルチームの選考イベント、インカレを除く)はないので、どこかの大手の大学大会、大手クラブ大会として開催しはじめる良い時期かも。